今日は日用品を買いに近所のドラッグストアに出かけた。
買い物を終えて帰ろうとしたら、原チャのそばに野良猫がいた。
毛はあちこちハゲてて、傷だらけのボロボロで、みすぼらしい猫だった。
可愛い野良猫だったら、きっと道行くたくさんの人に頭をなでてもらえるのに、その猫は嫌な視線をもらうばかり。
私が近寄ると、足下にすり寄ってきた。
元は飼い猫だったのかもしれない。
とても人懐っこかった。

私は知る人ぞ知る犬好きで、ぶっちゃけ猫は嫌いなんだけど、その猫があんまり可哀想だったので撫でてやった。
猫は気持ちよさそうにして、ますます私にすり寄ってきた。
多分この猫にとっては、このまま私が家に連れ帰って飼ってやるのが、幸せなことなんだろうけど、勿論それは出来ない。
でもこのままだったら、車にひかれるか、野犬に食われるか、人間に始末されるか、いずれにせよロクな最期は迎えない可能性のが高いんだろうな、と思ったら、もう少しこのまま撫でてやっててもいいような気がしてきた。
しまいには原チャの上に乗っちゃって、毛づくろいまでする始末。
追い払うことも出来なくて、私はその場で煙草とか吸いながら、夕日を見たりして過ごした。
とても穏やかな時間だった。

通りすがりのおばさんが、私に声をかけてきた。
「あなたは優しいのね」と言った。
でも違うんだ。
私は優しくなんてない。
ただ、自分にどうしようもなく好意を示す相手に、どうしようもなく弱いだけ。
たとえそれが一過性のものでも、嘘でも。
最終的には店員さんが出てきて、追い払ってくれた。
少しだけ胸が痛んだ。
きっとあの猫はそう遠くない先に死ぬだろう。
でもその死に方が、穏やかであればいいと思った。