悲しみと祈りと
新潟県中越地震がえらいことになってますね。
ちなみに私の住む関東地方もちょこっとだけぐらぐら揺れましたが、例の如く私はパソコンやってました。
そしてやっぱり身の安全とか考えなかった。
でも新潟にいた方はそうはいかないですよね。
考えざるをえませんもんね。
そう言えば話は少し変わりますが、昨日でしたか、土砂に埋もれた車（らしき物体）をテレビで見て、「あぁ、中の人はきっと明日か明後日くらいに遺体で掘り出されるんだろうな……。これで死亡が＋３かぁ…」なんてことをまったり考えていたものですが、救出されましたね、一人。
最初「中から女の人の声が…」みたいなことを報道してたので（それも奇跡的だと思いましたが）、てっきりお母さんが生きてるんだと思ったんですよ。
だってさすがに二歳とか三歳とかの子供が、あんな過酷な状況で生きてられると思わないじゃないですか。
でも生きてましたね。
私はバイトの休憩中に男の子が救出されたというニュースを初めて見ました。
正直、びっくりした。奇跡的だと思った。
でね、一人生きてると分かると、他の二人ももしかしたらって思うじゃないですか。
希望が湧くじゃないですか。
多分、全国でニュースを見てる何千何万、いやもっとかもしれないけど、凄くたくさんの人達が私と同じ気持ちだったと思う。
出来れば、三人とも無事で助かっていて欲しい。
別にね、私とは全然関係ない人達だし、ぶっちゃけあの人たちが生きてようと死んでようと私には関係ない。
だけど、やっぱ、人が死ぬのは悲しいことだと思うし、それが自業自得とかならまだしもこんな形で、無惨に奪われるのは忍びないと思うのですよ。
生きていて。
早く助けてあげて。
そんな風にお茶の間でテレビを見ながら祈った人達が一体何人いたことでしょうか。
そう、安全なお茶の間でね。
……私は、苦しんでいる人を都合良く助けてくれるような神様は存在しないと思う。
そんなことはきっと誰もが分かっていて、それでも祈る人間は馬鹿だと思う。
祈りなんて聞く相手はいない。どこにも届かない。何の意味も持たない。
一つの望みがあったとき、自分の手を汚す覚悟のない甘っちょろい人間が祈りなんてものをするんだと私は思う。
祈りなんて少しの価値もない。一銭にもならないしね。
ところで話は変わりますが、本日から私のバイト先（某スーパー）では新潟県中越地震への募金を開始しました。
まぁほとんどの人が無関心に通り過ぎていくだけのよくある募金風景だったんですが、そんな時、とある一人のオバサンがレジにいる私に話しかけてきたんです。
「あのぅ、すみません……、このお札、千円札に両替して頂けないでしょうか」
ちなみにうちのスーパーはレジでの両替は御法度。
なんか昔、両替と見せかけて金をレジから奪う客とか、両替の際にうっかり枚数間違えるアホな店員とかがいたらしくて、現在は絶対ダメ。
でもまぁ、「タバコ買いたいから」「ガチャガチャやりたいから」「電話かけたいから」とかいう理由で小銭の両替を頼んでくる人のは聞いちゃうんですけどね。
仕方ないし。
だけど両替してるところを厳しい社員さんに見つかろうものなら、こっちが怒られてしまいます。
そのくらい両替はダメ。
レジにも「両替はご遠慮させて頂きます」の張り紙が貼ってあるのに、時々当たり前な顔して両替を求めてきて、こっちが拒否すると怒り出すようなどうしようもない客もいますがね。
うん、そういう人は一度レジとかやってみると良いんじゃないかな！
自分がどのくらい困ったさんなのかが分かると思う。
兎にも角にも、お札を両替なんて以ての外なんですよ。
ところがよくよく話を聞いてみるとね、なんか普通の両替求めてくる人とは違うの。
なんでも、新潟県中越地震の募金をしたいんだけど、お札が大きいのしかないから、千円札にして欲しいってことらしいんです。
しかもそのオバサン、「すみません、レジでの両替はダメだって分かってるんですけど、どうしても……えっと、やっぱりダメでしょうか？すみません」と、物凄い低姿勢。
なんか、ちょっと感動した。
私みたいに十円入れようかどうしようかで悩むケチもいれば、素通りするだけの無関心な人もいるなかで、この人は店員にここまで謝ってまで千円を募金しようとしてる。
まぁ手に持ってる五千円札を募金しちゃえば話は早いんですけど、いくら何でも一般家庭の主婦が五千円も募金するなんて結構無茶な話ですよね。
多分、千円があのオバサンにとって精一杯だったんだと思う。
だけど財布には五千円札しかなくて、それでも募金せずにはいられなくて、店員に頭を下げて両替して貰う。
その心意気にちょっと感動した。
しかも今時そんな人がいるなんてことにあんまり驚いたもんだから、「いえっ、あ、はい！ありがとうございます…」とか訳のわからん応対をしてしまいました。たはー。
つまり、私の言いたかったことはですね、安全な場所でテレビ観てハラハラドキドキ、無事だと良いなぁとか祈るだけのボンクラはね、自分の愚かさに気付くべき。
そんなちゃちな同情だかなんだかで自分の自尊心みたいなのを満足させてるだけのちっぽけな人間なんだって気付くべき。
そりゃね、募金なんてものもボランティアや救助で現地に入ってる人に比べれば些細なことですよ。
だけど、被災者の人達の為に具体的に行動にしてるって時点で、もう祈るだけの人とは違うの。
金額とか程度の問題じゃなくて、心意気の問題。
バイト先に訪れたオバサンが入れた千円は、被災者全員を助けるには到底足りない額でしょう。
だけどその千円は、あのオバサンが被災者の為を思って、頭を下げてまで入れた千円なんです。
募金なんて見て見ぬ振り、ましてや知らなかったとか言うような奴等とは格が違うんだよ！
ちなみに私は結局一円も募金せずに帰りました。
こんな私はさっさと見捨てると良いと思う。
でもすいません、言う資格ないと思うんですけど、優太ちゃんが助かって本当に良かったと思います。
