きっと

私はきっと、多分、捨てられないものなんて、何もない。
まあいいや、もういいやって、きっと、思う。
そうやって切り捨てて手放して、何も残らなくなっても。
だって本当は、ずっと空っぽなんだもの。
誰も顧みない大切な物を泣きながら自分の手で捨てされられて嗚咽を噛み殺して沢山のことを飲み込んだ遠い昔から、私の中はずっと何も溜まらないように出来てる。
だってどうせいつか全部なくなるのに。
私の手には、何も残らないのに。
だから、もう、何も要らない。
でも、何もないと生きていけない。
だから、ずっと、人の振りをしているだけなんだ。
何かに執着して、この手に留めておいて、そうやって「私」を繋ぎとめてるだけなんだ。
捨てたくないと、捨てちゃ駄目だと自分に言い聞かせて、でもきっと、本当はどうでもいいと思ってる。
どんなに滑稽でも、そんな風にしか私は生きられない。
ごめんね、私はきっと。
一つ、また一つと捨てていく。
捨てるのは、得意なの。
頑張るのは苦手だけどね。